「同調」「賛同」は「○○派」にあらず!
以前ブログで「オウム集団の『三女派』と聞いてどのような印象を持たれますか?」という記事でも書きましたが、滝本弁護士は「三女派」の意味について、わたしの「指揮や影響を受けている者」「指導者として仰いでいる集団」と主張していました。
しかしそんな集団はありません。もちろん立証も不可能です。
そこで滝本弁護士は、名誉毀損の成立を回避するために、
「三女派」というのは、現実的に原告三女が差配しているかどうかは関係なく、原告三女の宗教的権威なり『霊性』なりを認める人たち、また広くは原告・三女の書籍や講演会などを契機に原告・三女のファンのようになり、その言うところに関心持ち、同人に従っていきそうな予備軍を含めて指す
と、主張を大きく変遷させました。
これでは、誰でも「三女派」に属していることにされてしまいます。誰でも派閥に巻き込まれ、誰でも監視されることになります。
この点一審判決は、
「三女派」との表現は、原告がオウム真理教を事実上承継した団体の中で指導的な立場にあることまで示すものではない。
として、名誉毀損の成立を認めませんでした。裁判所は、滝本弁護士の、日本語の定義を逸脱し、「関心」を持った人や「ファン」も「三女派」に含めるという弁明を、受け入れて守ったのだと思います。
しかし、やはりこれは「派閥」の定義として、あまりに危険です
この点、控訴審は、
個人名又は個人を指す単語を冠した「○○派」という文言は、一般に、当該個人に同調し又は賛同する者の集団ということを意味するにとどまらず、当該個人が当該集団を象徴する構成員であることを意味する
と、滝本弁護士の主張をばっさり。
これで、犬派・猫派が派閥扱いされることも、ファンというだけで派閥扱いされることもなくなりましたね。
嬉しいです!
一番悔しかったあの一文もなくなりました!
一審判決では、滝本弁護士が、大要「規制対象団体と同様に外部に無差別攻撃する可能性があると考えたとしても不合理とはいえ」ないと判断しました。
わたしは事件について何も知りませんでした。生まれてからこれまで一度も、無差別攻撃などしたことはありません。
それなのに、わたしが「無差別攻撃をする可能性がある」と誤解されるのは不合理ではないと、裁判所がお墨付きを与えたのです。
――たとえ事実の裏付けがなく、相手がどのような「誤解」をしようとも、おまえを無差別攻撃するテロリストと扱う文章を公開することは、不合理ではない。
そう言われているように感じ、恐怖で目の前が真っ暗になりました。
わたしが控訴したのは、この一文がとても受け入れられなかったからです。
しかし、控訴審の判決では上記の一文も書き直されており、わたしが「無差別攻撃をすると考えても不合理とは言えない」という旨の記載は、まったくありませんでした。
わたしという個人を尊重してくださったのだと感じられ、控訴審の裁判所に感謝しています。
控訴する前は悩みました。控訴審で闘う体力があるかも心配でしたが、あきらめなくてよかったと、今はそう思っています。
くじけることなく、ここまで頑張ってこられたのは、皆さまのお支えがあったからです。
いつもありがとうございます。
次の記事では、一審と二審判決の違いについて、細かく書かせていただこうと思います。
専門用語も出てきて長い記事になってしまいますが、よろしければ――というよりぜひ――おつきあいください。